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vendredi 31 octobre 2008

エリックさんの名前(続報)

 以前エリック・ヴールト(Eric Woerth)の苗字はいかに発音されるかということについての記事を書いたときに、いたって無責任にこれはオランダ系の苗字ではないかしらんということを書いたのだが、何のことはない、アルザス系ですね、これは。まったくうっかりです。バ・ラン県(下ライン県)にこの名前の町があります。ヴールト(Woerth)は1870年にフランスが大敗北を喫したライショフェンの戦いの舞台になったところですから、決して名前の知られていない町ではないでしょう。アルザスでは Woerth とつづられますが、ドイツ語では Wörth になります。ですからこの母音はフランス語の規則として oe が後ろに母音をともなっていない場合の「エ」ではなくて、ウとエの中間音だと考えるのが適当でしょう。かといって「フランス人は『ヴェルト』と発音しないのである!」と主張できるようなものでもありませんが。(コメントでは、elsasser というサイトでは verte と同じ発音[vεrt]になっていることが報告されています。)
 さて、これがアルザス系の苗字だとわかってみると(エリックさん自身はピカルディー地方のワーズ県クレイユの出身)、最後の th を「ス」と読むのはおかしいのではないかと考えられます。しかしフランス人のアナウンサーがこれを「ス」で発音したのは一度や二度ではありません。この問題に関するおもしろいブログ記事を発見しました。ブログの題名は Le Petit Champignacien illustré といいます。最近のフランス語のことばの問題をいろいろあげつらうものらしいです。
 私がヴァース(ヴールスでもワースでも、カタカナの書き方はどうでもいいが)というような発音を聞いたのはヨーロッパ1だが、ここではフランス・アンテール(France Inter)で聞いたということが報告されています。エリックさん属するUMPを支持する読者のジャンクロードさんから、「伯爵」と呼ばれるブログ主に、「英語風の -s で終わるエリックさんの名前をフランス・アンテールで聞いたのだが、これは1981年に採用された左翼のアナウンサーなのか、それともドイツ語の発音が私の若いころから変わってしまったのか」という質問がなされています。
 「伯爵」さんが答えて云うには、ジャンクロードさんがドイツ語や英語のレベルを心配する必要はなく、まさにこのジャーナリストは反全球化・左・エコロジー・社会・共産・マルクス・レーニン主義者なのだということです。この左のジャーナリストは、当然彼にとっては悪役である予算担当相のエリックさんの名前を英語の「ワース」と結びつけようとしたのである、と答えています。ここで英単語のつづりが worth になっているのがご愛嬌で、コメントが worse に訂正しています。ちなみにこの記事の題名は「最低の中の最低」(Le pire du pire)です。もちろんユーモアなんだが、どこまでユーモアで、どこから本気でまちがっているのかよくわからないところがまた味ですなあ。「右のひとから見ると左翼は英語かぶれ」(と左のひとが考える?)というのもまたおもしろいことです。伯爵さんはこうおっしゃっております。
 フランス人のジャーナリストはだれも英単語の意味を理解する能力をもたないだろうが、ドイツ起源の名前の発音は彼らには難しすぎて、言ってしまえばむだなものなのである。所轄官庁にこのジャーナリストを告発し、この問題を休止させるために一刻も早い罷免を要求しなければなりません。
 まあ、ユーモアですけどね。
 実際 Woerth の名前の th を s で発音するアナウンサーが「英語風」に発音しているのかどうかは私にはわかりません。何か他の理由がありそうな気がします。

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