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vendredi 15 août 2008

あら、まちがった

 フランス語のくだけた表現で、「まちがっちゃった」という意味の Autant pour moi! という言い回しがあります。Autant は「同じくらい」という意味ですから、意味がわからないと、「私もそうです」と訳してしまいそうですね。「私にも同じくらいお願いします」というのも誤訳 です。「まちがった」とはいっても謝るニュアンスはなく、ちょっとふざけたような照れ隠しの感じです。
 それにしても、この言い回しをどのように分析すると「まちがった」という意味になるのでしょうか。よくわかりません。
 これに似た表現に Autant pour les crosses! というものがあります。これは「やり直し!」という意味で、軍事教練のときに先生が叫ぶ命令から来ています。Crosses は銃床ということで、私にはよくわからないけれども、動きと音が合っていないときにそれを合わせろという意味で使われることばが元になっているのだそうで す。よって crosses も同時に、という意味なのですが、本当は au temps の方が正しかったらしいです。「タイミングを合わせろ」と云っているのが、「同じようにしろ」と勘違いされて、同じ発音の autant に変ったということなのだそうです。軍人が無教養であることを如実に表す表現です(うそ)。
 さて問題の Autant pour moi! ですが、この言い回しの起こりはちょっと複雑です。つまり軍人の間から来た Autant pour les crosses! 「やり直し!」という言い回しがあり、これをもじってこの Autant pour moi! 「まちがっちゃった!」ができたということになります。しかし、Autant pour les crosses! の方は、「タイミングを合わせろ」という意味の Au temps pour les crosses! という、本来であれば正しいはずのつづりに戻すと言い回しが説明できるものの、これを Au temps pour moi! としても依然として意味は分析できません。こういうものだと考えるしかないでしょう。もしこの表現が「私も同じだ」ということを云っているとしたら、それは「やり直し!」という表現に対してだということになります。「私もやり直さなければならない」ということですが、あまり論理的ではありません。
 Autant pour les crosses! は、autant が au temps と発音が同じなので混同されたものですが、これと似ていても少しちがう事例があります。Sens dessus dessous は「さかさま」ということで、sens はここで「方向」を意味するようですが、奇妙なことにこの言い回しにおいてはこの単語の最後のSは発音されません。どうしてSが発音されないかというと、 これは古い表現 c'en dessus dessous から来ているからなのだということです。現代フランス語の表記としては sens dessus dessous が正しいとされますが、この表現が「上も下もない」という意味だと理解されると、sans dessus dessous と書かれることもあります。Sans の方はもともと最後のSを発音しないので、こちらのつづりの方が論理的だと考えられてしまう場合もあるようです。将来的にはこちらのつづりの方が正しいと いうことになってしまうかもしれません。

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