数字に関する言い回しは何語でも外国人にとってむずかしいものです。「嘘八百」とか「四の五の云わずに」という表現までマスターしている外国人はなかなかいないでしょう。しかもこれを説明するとなるとひと苦労です。私はどうして「嘘八百」なのかとかどうして「五の六の」ではだめなのかと聞かれてもまったくわかりませんね。
フランス語に数字を含んだ不思議な表現があります。ここでは être sur son trente-et-un という表現について考えてみましょう。「いちばんいい服を着ている」、「おめかししている」という意味です。Tu es sur ton trente-et-un! というと「めかしこんでるねえ!」ということです。どうしていちばんいい衣裳が31なのでしょうか。
非常によく聞く意見、「先生も走るから師走」のような民間語源説によれば、12月31日には一年でいちばんめかしこむからだというのですが、これは語源学的には正確なものではないようです。
学者めかした眉唾の説も古くからありまして、たとえば trentain という高級の織布からこの言い回しは来ているということが主張されました。この織物は 30×100程度の本数の糸で織られていたそうです。しかしこの単語は古くから死語であったため、この説は信用に足るものではありません。あるいはトランプのゲイムで「31」というものがあり、そこから来たという説もあります。
しかし同じ意味を表す言い回しが必ずしも31という数字を使っていなかったという事実が、これらの仮説を否定します。たとえばラルシェーは1872年の俗語辞典で、1833年の「36」という数字を使った用例を挙げています。あるいは1793年の用例では、「18」という数字が用いられているそうです。
18も36も9の倍数です。フランス語で9は neuf、すなわち「新品」と同じ単語です。つまり18というのは「二倍新品」ということば遊びで、36はさらにその二倍新しいということになります。論理的には36が使われていてもよさそうなのですが、ここで上に云った「31日」にめかしこむという発想が働いて「31」になったということなのではないでしょうか。
ゴンクール兄弟の日記には「32」を用いた例があり、バルザックは「51」を用いているそうです。こういった例においては、数字はただ強調的な価値をもっているだけで説明はできないということのようです。
フランス語に数字を含んだ不思議な表現があります。ここでは être sur son trente-et-un という表現について考えてみましょう。「いちばんいい服を着ている」、「おめかししている」という意味です。Tu es sur ton trente-et-un! というと「めかしこんでるねえ!」ということです。どうしていちばんいい衣裳が31なのでしょうか。
非常によく聞く意見、「先生も走るから師走」のような民間語源説によれば、12月31日には一年でいちばんめかしこむからだというのですが、これは語源学的には正確なものではないようです。
学者めかした眉唾の説も古くからありまして、たとえば trentain という高級の織布からこの言い回しは来ているということが主張されました。この織物は 30×100程度の本数の糸で織られていたそうです。しかしこの単語は古くから死語であったため、この説は信用に足るものではありません。あるいはトランプのゲイムで「31」というものがあり、そこから来たという説もあります。
しかし同じ意味を表す言い回しが必ずしも31という数字を使っていなかったという事実が、これらの仮説を否定します。たとえばラルシェーは1872年の俗語辞典で、1833年の「36」という数字を使った用例を挙げています。あるいは1793年の用例では、「18」という数字が用いられているそうです。
18も36も9の倍数です。フランス語で9は neuf、すなわち「新品」と同じ単語です。つまり18というのは「二倍新品」ということば遊びで、36はさらにその二倍新しいということになります。論理的には36が使われていてもよさそうなのですが、ここで上に云った「31日」にめかしこむという発想が働いて「31」になったということなのではないでしょうか。
ゴンクール兄弟の日記には「32」を用いた例があり、バルザックは「51」を用いているそうです。こういった例においては、数字はただ強調的な価値をもっているだけで説明はできないということのようです。


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